デンタルニュース
歯医者の飛び込みは迷惑?当日診てもらうには
日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
「歯医者の飛び込みって迷惑かな?」
「すぐ診てもらいたいんだけど、予約なしでも行けるの?」
内科のクリニックと違い、歯医者は予約が必要なところがほとんどです。歯医者に急に診て欲しい時に予約が無い場合でも、飛び込みでも診てもらえるのでしょうか?
結論から言うと、当日に飛び込みで診てもらうことが可能な場合もあります。しかし、飛び込みでの診療は歯医者側にも患者様側にも問題が出てしまうこともあります。
私は今まで10年以上臨床の場で勤務してきて、予約なしで飛び込みで来院された患者様を何名も見てきましたが、ほとんどの場合できる限りの応急処置になることが多いです。しっかりと治療を進めるには、飛び込みでの来院ではなく予約が必要です。
ただ、痛みなどがあると、応急処置でも良いのでどうしても当日に診て欲しい時もあると思います。
この記事では、歯医者にはなぜ予約が必要か、飛び込みでのデメリット、当日に診てもらう方法を解説しています。
歯医者の予約はなぜ必要か
そもそも、内科などは予約がいらず飛び込みで行くことがほとんどなのに、歯医者はなぜ予約が必要なのでしょうか?
歯医者に予約が必要な理由を解説します。
①診療自体に時間がかかることが多い
時間のかかる理由
内科の場合、診察をして薬を処方するという流れがほとんどで、数分で終わることが多いですが、歯科の場合は治療が必要なことがほとんどなので、数分というわけにはいきません。
1人の患者様の平均治療時間
消毒や抜糸などすぐ終わる処置もありますが、基本的には15〜30分程度かかる処置が多いです。
また、診療台も予約時間の間はその患者様専用になるので、治療中は他の患者様を診ることはできません。
中には麻酔の待ち時間や歯科衛生士を上手く使って、同じ時間帯に数名の患者様を診る先生も居ますが、私が今まで診療に携わってきた中では同時に診るのは2〜3名が限界という感じがします。
どの治療も一定の時間がかかり、一度に多くの患者様が来院しても診ることができないため、スムーズに治療が進められるよう予約制となっています。
②治療を計画的に進めるため
口腔内の状況の確認
小さい虫歯の場合は一回の来院で終わることもありますが、虫歯の治療や歯周病の治療は程度によっては一回で終わらないこともあります。むしろ一回では終わらないことの方が多いでしょう。
検査を行った上で、患者様のお口の中の状態に合わせて治療計画を立て、治療を進めていく必要があります。
治療の内容によっては、被せ物やマウスピースなど作成するのに時間がかかるものもあり、予約の日にちに合わせて計画的に作成しています。
治療計画に必要な検査
治療の内容にもよりますが、虫歯や歯周病の程度を診るためには、レントゲンの撮影による検査が必要です。また、歯周病治療を行うにあたって、歯周ポケットの数値を測る検査も必要になってきます。
③治療の準備片付けが必要なため
治療に必要な機材
歯科の治療では、「基本セット」と呼ばれる診察に必ず使用する器具のセットを患者様ひとりひとりに用意しています。
それに加え、歯を削る器具や詰めるための材料、型取りの材料など、治療内容に合わせて用意する必要があります。
治療の準備内容
前述した通り治療の内容によって準備する機材は変わってきますが、限られた時間内で治療をスムーズに行うため、ある程度治療の流れを予測して機材を準備しています。
偶然立て続けに同じ内容の処置が入ってしまうと、その処置で使用する器具の在庫がすぐに無くなってしまうため、予約で管理する必要があります。
治療後の片付けは「滅菌」することが大切
歯医者では、患者様のお口の中に使用する器具は全て滅菌する必要があります。そのため、用意していた器具の数よりたくさんの患者様が来院してしまうと、使用する器具がなくなってしまいます。また、滅菌をかけるのにも時間がかかるため、ある程度の来院数を把握し器具の準備をしておかなければならないのです。
予約がいっぱいの歯医者だと、スタッフも皆忙しいため滅菌作業のタイミングが遅くなり、器具の在庫がギリギリになってしまうことなどもあります。
滅菌は120〜135度まで温度を上げて行うものなのですが、私は以前器具の在庫がギリギリになってしまった時に、滅菌が終わったばかりの熱々の器具をなんとか冷やしながら使用した経験が何度かあります。
予約制を取り入れていてもこういったことが起こるため、予約なしで診療していたら、すぐに足りない器具が出てきてしまうでしょう。
飛び込みでかかる時のデメリット
歯医者で予約が必要だとわかっていても、どうしても当日診て欲しい時もありますよね。飛び込みで歯医者にかかる場合のデメリットを解説します。
①予約の患者様が優先となるので待つことが多い
歯医者の基本的な待ち時間
治療が予定通りに終わらないこともあるので、多少予約時間とのズレが生じることもありますが、予約している場合であれば、基本的には待っても5〜10分程度でしょう。
飛び込みの待ち時間
歯医者は予約制なことがほとんどのため、事前に予約していた患者様が優先となります。
予約している患者様を時間通りに診ながら、空いたタイミングで飛び込みで来院された患者様を診るため、長時間待たなければならないことが多いです。
中には、偶然空き時間がありすぐ診てもらえる場合もありますが、1時間以上待つ場合もあるでしょう。
②応急処置だけになることがある
応急処置の内容
治療内容にもよりますが、飲み薬の処方や、お口の中の消毒や薬の塗布など、対処療法になることが多いでしょう。
応急処置の治療時間
予約の患者様の治療の合間に診るため、治療時間をしっかり確保することが難しく、通常の診療のようにしっかり診れないことが多いです。
そのため治療の続きを進めたい場合は、飛び込みではなく予約をして治療時間を確保する必要があります。
どうしても当日診てもらいたい場合は?
いつもしっかり予約を守っている方でも、急に歯が痛くなって、どうしても当日に診てもらいたい時もあると思います。その場合どのように行動したら良いかまとめたので、参考にしてみてください。
①電話で当日予約をする
電話の必要性
飛び込みで歯医者に行くのではなく、事前に必ず電話をしましょう。
場合によっては、数時間かかるオペなどの処置が入っていたり、どうしても対応できない時間があります。
事前に電話しておくことで、そういった時間帯を避けることができます。
事前予約のメリット
歯医者側に予約のキャンセルがでて、空いている時間がある場合もあります。また、治療が早く終わり空き時間ができそうなところを案内してくれたりもするので、飛び込みで行くよりも待ち時間を短縮できる可能性があります。
歯医者側からしても、予約外の患者様が来る時間帯がわかっていた方が、事前に準備できることもあります。
②現在の症状を伝える
出ている症状を全て伝える
痛みや腫れなどがあることをきちんと伝えないと、緊急性がないと思われ断られる可能性もあるので、出ている症状は全て伝えましょう。
症状から治療の予測ができる
どのような症状が出ているか伝えておくことで、歯医者側も必要な治療の予測ができます。治療の予測ができると、必要な器具もあらかじめ準備することができ、スムーズな診療が行えます。
③当日予約可の歯医者を探す
かかりつけで対応できない場合もある
通っている歯医者が休診日であったり、オペなどの中断できない長時間の処置が入っていて診てもらえない場合もあります。
その場合は痛みを我慢せずに、他の歯医者で診てもらいましょう。
治療中なのに他の歯医者に行っても大丈夫かな?と思ってしまう方も居るかもしれませんが、私の経験上「かかりつけが休診日でやっていなかったから他院に行った」という方は結構居ます。
歯医者で勤務している立場からしても、緊急性のある症状の場合は早めに応急処置をした方が良いとわかっているので、痛みや腫れなどがある場合は早めに診てもらえるところに行きましょう。
歯医者の探し方
歯医者の中には、当日予約が可能であったり、初診・急患随時受付などの表記がある歯医者もあります。
検索サイト等で調べ、電話してみましょう。
④予約のマナーを守る
遅刻しないようにする
歯医者では患者様のために、治療時間や診療台の確保、器具の準備をしています。当日の電話をして診てもらえることになったら、遅刻しないようにできれば早めに来院するようにしましょう。
無断キャンセルはしない
やむを得ず予約を変更したい時は早めに連絡しましょう。
予約したのに行かないという無断キャンセルは、歯医者で働いている人だけでなく、他の患者様の迷惑にもなるので絶対にやめましょう。
まとめ
歯医者では、予約の治療内容に合わせて器具やスタッフの人数などの調整をしています。飛び込みでの受診は、事前に予約していた患者様の迷惑になってしまう可能性がありますし、十分な治療を受けられない可能性もあります。
緊急時以外は、きちんと予約をして計画的に治療を受けましょう。
また、緊急時の場合もいきなり飛び込みで歯医者に行くのではなく、当日であっても電話予約をしましょう。そうすることで、歯医者側も前もって準備できたり、患者様も待ち時間が少なくなるなど、双方がスムーズに治療を行う状態にすることができます。