デンタルニュース
抜けた歯を放置するとどうなる?
歯周病や事故で残念ながら歯を失ってしまったとき、「抜いたのは奥歯で目立たないから」「1本くらい歯がなくても不便はないから」「痛みはないから」と抜けたまま放置してしまうと、時間が経つにつれ様々なお口や体の不具合が出てしまいます。
歯並びや噛み合わせが崩れる
歯は、空いたスペースを埋めようとする働きがあります。
歯が抜けた部分をそのままにしていると、両側の歯が傾いて倒れてきたり、反対側の歯が伸びてきて歯並びや噛み合わせが乱れ始めます。
見た目が悪くなる
歯が抜けると歯茎が下がってきます。
また、歯並びのバランスが悪くなると、頬がこけたり、口元の皺が増えたりして、顔の見え方が変わってきます。
歯が抜けている所は、笑った時やお話をしているときに目立ちます。
そのため、あまり笑えなくなって表情が不自然になったり、口元を手で隠すような仕草も増えてきます。
胃腸に負担がかかる
歯が抜けてしまうと噛む能力が下がるため、食べ物をうまく噛めないまま飲み込んでしまいがちになります。
そうすると胃に負担をかけ、消化不良を招きます。
きちんと栄養を吸収できなければ、免疫力が低下し、栄養不良に陥って、フレイル(虚弱)体質になっていきます。
認知症のリスクが上がる
歯が抜けると、噛むことによる脳への刺激が減少して、認知症のリスクが高まります。
奥歯を一本失うと、なんと40%もかみ砕く力が低下し、認知症のリスクは2倍になるといわれています。
歯を失ったときの治療法の比較
歯を失った際には、主にインプラント、入れ歯、ブリッジの3つの治療法があります。
歯科医師と相談の上、ご自分にとって納得のいく治療を選びましょう。
インプラント
メリット
・天然歯と同じような仕上がりになる
・自分の歯と同じように噛める
デメリット
・保険がきかない
・手術が必要
入れ歯
メリット
・治療回数や通院回数が比較的短い
・種類が選べる
・手術が不要
・保険がきく素材もある
デメリット
・違和感がある
・目立つ
・毎日のお手入れが必要
ブリッジ
メリット
・治療回数や通院回数が比較的短い
・手術が不要
・保険がきく素材もある
デメリット
・汚れがたまりやすい
・両隣の歯を削る必要がある
・隣の歯が健康な場合、削ることに抵抗感がある
歯周病と骨粗鬆症の関係
骨粗鬆症はどんな病気?
骨粗鬆症は、全身の骨強度が低下し、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気で、日本では推定約1.000万人以上いると言われています。
骨粗鬆症になると、背中がまがる、身長が縮む、背中や腰が痛むといった症状だけでなく、骨がもろくなるため、背骨が体重を支えきれずにつぶれたり、胸骨が圧迫骨折を起こしたりします。
また、転倒した時に手をついて、手首や肩等を骨折しやすくなります。特に高齢者は、骨折から長期入院となり、寝たきりや認知症になってしまうケースもあります。
骨粗鬆症と歯周病の関係
骨粗鬆症は女性に多い病気です。閉経により、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下し骨密度が低くなるからです。
歯を支える歯槽骨も脆くなります。また、歯周ポケット内に炎症を引き起こす物質が作られ、歯周病が悪化しやすくなると考えられています。
歯周病によって歯を失うと、かむ能力が低下して、食物の消化吸収力の低下を招きます。
その結果、低栄養となり、更に骨粗鬆症を悪化させるという悪循環に陥ることもあります。
愛知学院大学短期大学部の研究で、「残っている歯の数」と「骨密度」の関係性を調べたところ、「正常な骨密度の人の90%以上は歯が20本以上残っていた」が、「骨密度が低い人の70%は歯が20本未満しか残っていなかった」ことが分かりました。
また、歯周病の進行度と骨粗鬆症との関係性では、歯周病が進行しているほど、骨粗鬆症の疑いが強いと診断される人が多かったそうです。
骨粗鬆症と歯周病を予防するには?
カルシウムやイソフラボンを摂る
骨の強度はホルモンの影響を強く受ける事が分かっています。女性の場合、エストロゲンというホルモンが多ければ多いほど骨密度も上がります。
乳製品や大豆製品、小魚、緑黄野菜、海草など、カルシウムを沢山ふくんだ食品をしっかりとりましょう。
また、イソフラボンは、エストロゲンと同じような働きをする力があります。納豆・豆腐・味噌・しょうゆ・豆乳・きなこ・油揚げ・厚揚げなどに含まれているので、毎日摂取しましょう。
よく噛んで食べる
だ液には、口の中の細菌を洗い流してくれる自浄作用があります。よく噛んで食べることは歯周病予防に効果的です。
定期的に歯の予防処置を受ける
毎日歯磨きをしていても、汚れは落としきれません。
その落としきれない汚れが歯石になり、やがて歯周病になってしまうリスクもあります。
歯科医院で、定期的にプロによる予防処置を受けましょう。
歯に関する豆知識、ウソ!?ホント!
歯垢 (プラーク)は食べ物のカスが腐った物
→ウソです!
プラークは食べものの残りカスが歯の表面につき、それを餌にして細菌が繁殖したものです。
食後8時間程度でプラークができるといわれ、プラーク1mgのなかには、およそ300種類1億個ものの細菌が存在しています。
この中に、むし歯や歯周病の原因になる菌がひしめいています。
歯垢は虫歯、歯周病、口臭の原因になります。食後には歯磨きをして、清潔なお口を保ちましょう!
犬や猫は歯周病にならない
→ウソです!
犬や猫も歯周病になります。犬や猫は口腔ケアが難しいので、人間以上に様々な歯周病菌が生息している可能性があります。
キスや食器、食べ物の共有をすると、飼い主が歯周病に罹患するリスクが一気に高まります。
可愛いペットですが、スキンシップは気をつけましょう。
歯垢は丁寧な歯磨きで全て落ちる
→ウソです!
毎食後の歯磨きは虫歯予防の第一歩。
しかし歯ブラシで磨くだけでは60%しか歯垢が落としきれません。
「歯間ブラシ」や「デンタルフロス」も取り入れ、歯の隙間や、奥に詰まった汚れを丁寧に掃除する習慣をつけましょう。
また、3ヶ月に一度は歯科医院でクリーニングを受けましょう。
歯医者に行く前には歯磨きをしたほうがよい?
→ホント!
歯科医院では、日常的な歯磨きの磨き残しの状態をみるプラークスコアという数値をつけます。
10〜20%程度で維持できれば歯周病を予防できます。
しかし、歯磨きをせずに歯科医院に行くと、日ごろから全ての歯に磨き残しがあると受けとめられてしまいます。
誰しも歯磨きにはクセがあり、特定の場所に磨き残しが出やすくなります。
その場所を歯科衛生士に教えてもらい、磨き方のクセを是正してもらうことが、歯周病や虫歯を予防するために大切です。
歯周病で死ぬことがある
→ホント!
日本人の8割が歯周病に罹患していると言われています。
歯周病菌は、唾液を介して肺に入り込んだり、歯ぐきの中の毛細血管を介して体に入り込んだりして全身の至る所で悪さをします。
体に入り込んだ歯周病菌は、心臓や血管内で血栓を作りやすくし、心筋梗塞や脳梗塞の原因になります。
また、肺炎、糖尿病、骨粗鬆症、低体重児出産、認知症の原因の一つになっていることも分かってきました。
更に、高齢者の死因第1位の誤嚥性肺炎にも、歯周病菌が関係しています。
歯周病は自分では気がつきにくい病気です。歯茎から血がでたら、すぐに歯科医院で治療を受けましょう!
口腔がんは早期発見が大切
口腔がんとは?
口腔(こうくう)とは、お口の中全体を指します。
そして、そこにできるがんを総称して「口腔がん」と呼んでいます。
タレントの堀ちえみさんの罹患で注目されました。
舌や頬、歯ぐきなど、様々な部位にできますが、最も多いのは舌にできる舌がんです。
日本では年間約8,000人(2016年)が口腔がんになります。
がん全体のおよそ1%ですが、年々増加しており、30年前と比べると約3倍に増えています。
口腔がんは、初期症状のうちに発見すれば簡単な治療で治すことができ、後遺症もほとんど残ることはありません。
しかし進行した口腔がんでは、手術により舌やあごの骨を切除するため、顔が変形することがあります。
このため、日常の生活に大きな支障を残すことがあるのです。
だからこそ、早期発見が重要です。
口腔がんは痛みがない!?
口腔がんは痛みを伴わないものが多く、口内炎と間違われてしまうことがあります。
口内炎は長くても二週間程度で治りますが、なかなか治らない場合は、口腔がんが疑われます。
その他の特徴として、かみづらい感じがする、舌などにしびれを感じる、頬・舌に動かしづらさを感じる、首のリンパ節の腫れが3週間以上続く、などの変化や違和感が表れることもあります。
自分で見つけましょう
口腔がんは、自分で見つけることができます。
早く見つかればほとんどが治せるのです。
月に一度、明るい場所で鏡を見ながら確認し、次の様な異常が見られたら歯科口腔外科にかかりましょう。
口腔がん自己チェックのすすめかた
1. 下唇の内側と、下あごの歯肉とその間を見て、触ってください。
2. 上唇の内側と、上あごの歯肉と、その間を見て触ってください。
3. 頬の裏側の粘膜を見て、触ってください。
4. 舌を前に出し、舌の両側、下側をよく見て触ってください。
5. 下顎から首にかけて触って見てください。
こんな症状が見られたら、すぐに歯科口腔外科を受診しましょう
□ 口内炎や口の中の傷が2週間経っても治らない
□ 口の中にしこりや腫れ、ザラザラしたところがある
□ 口の中に色の違う部分がある(白斑や赤斑など)
□ 口の中(舌・歯肉・頬粘膜・口唇・口蓋から出血する)
□ 最近、痛みや腫れで急に入れ歯が合わなくなってきた
□ 歯以外の所がしみたり、ヒリヒリする
□ 噛んでしまった場所や、抜歯後の傷がなかなか治らない
オーラルフレイルを予防して 健康寿命をのばそう!
皆さんは「オーラルフレイル」という言葉を耳にしたことがありますか?
日本は、今や世界を代表する長寿国。2025年には75歳以上の後期高齢者が2,000万人を超える超高齢社会となります。
平均寿命は延びていますが、実は健康寿命は男性で約9年、女性で約13年も平均寿命より短くなっています。
これは、死を前にして男性は平均9年間、女性も平均13年間も要介護状態にあるということです。
要介護状態は、筋力などの身体機能の低下より先に、社会参加など他者との交流が減ったり、口の機能が衰えたりすること(オーラルフレイル)から始まります。
そのため、健康な体を維持するため、オーラルフレイルの症状を見逃さないことが大切なのです。
お口の小さな変化を見落とさないで!
「オーラルフレイル」は、口腔機能の軽微な低下や食の偏りなど、身体の衰え(フレイル)の一つです。
お口のささいなトラブルを「年のせい」と諦めて放っておくと、自覚がないままに悪循環に陥ってフレイルからサルコぺニア(※加齢や疾患により、筋肉量が減少すること)、要介護状態、死亡にいたるリスクが高まるのです。
下の表で、合計点数が9以上の方はオーラルフレイルの危険性があります。
放置せずに早めに当院へご相談ください。
オーラルフレイルのセルフチェック表
いつも:2 ときどき:1 いいえ:0
Q1:半年前と比べて、堅い物が食べにくくなった
Q2:お茶や汁物でむせることがある
Q3:義歯がよくかめない
Q4:口の乾きが気になる
Q5:半年前と比べて、外出が少なくなった
Q6:さきイカ・たくあん程度の食べ物を噛むことができる
Q7:1 日に 2 回以上、歯を磨く
Q8:1 年に 1 回以上、歯医者に行く
合計点数が
0~7点 オーラルフレイルの危険性は低い
8~10点 オーラルフレイルの危険性あり
11点以上 オーラルフレイルの危険性が高い
虫歯予防に欠かせないフッ素について
フッ素とは?
フッ素とは土、海水、植物、動物など、地球のあらゆるところに存在している元素です。
魚介類や野菜、肉、牛乳、塩、お茶の葉っぱなど、ほとんどの食品に含まれており、毎日摂らなければならない必須の栄養素に位置付けられています。
私達の体の中では、13番目に多い元素で、鉄よりも多く含まれます。
どんな働きがあるの?
1.虫歯を防ぐ:
フッ化物を歯の表面に塗布し、その成分がエナメル質に取り込まれることで、エナメル質を強化することができ、虫歯になりにくい歯を作ります。
また、フッ素にはむし歯菌の働きを抑える作用があり、むし歯になる原因を抑えることができるのです。
2.虫歯になりかけた歯を修復する:
虫歯菌が作り出した酸によって歯の表面のエナメル質が溶け始めて虫歯になりかけている状態を「脱灰」といいます。
この脱灰という状態を、カルシウムを取り込んで修復しようとする力を「再石灰化」と呼びます。
フッ化物を塗布すると、再石灰化が促進され、より早く虫歯になりかけた歯を修復することができます。
フッ素はいつから使えるの?
乳歯は、歯が生えてきて間もない生後6ヶ月から3歳半頃までに、永久歯は4歳から14歳頃の時期に使うと一番効果があります。
また、中学生までフッ素うがいを続けた子は大人になっても虫歯が60%も少ないという研究が日本で発表されています。
最近では、大人の歯の根面のむし歯にも20〜30%の予防効果があるという研究報告もありますので、フッ素の利用は一生続けたほうが良いと言われています。
自宅ではどのようにフッ素を取り入れれば良い?
フッ素溶液による洗口
歯磨きの後にフッ素入りの溶液を用いて30秒ブクブクうがいをする方法です。
デンタルリンスは大人用のイメージがありますが、最近では子供用のものも販売されています。
4歳〜14歳くらいに使用すると効果的です。
フッ素配合歯磨剤の使用
ほとんどの歯磨き粉にフッ素が配合されています。
フッ素の効果を高めたい方は、普通に歯磨きをした後、歯磨きをつけて仕上げ磨きをし、うがいはごく少量の水で1回行います。
6歳未満のお子さんは、子供用歯みがきの濃度を確認して用法どおりに使用しましょう。
口内からのSOS?口内炎について
口内炎は1週間~2週間ほどで治ってしまうことがほとんどです。
しかし、繰り返しなったり、いくつもできて数週間治らないような場合は、他の病気が関係していることを疑ったほうがよいかもしれません。
堀ちえみさんのように口腔ガンの場合もあります。軽く考えて放置せず、早めに歯科医院で診断を受けて適切な治療やケアをすることが大切です。
口内炎の原因は?
・食事中や睡眠中に頬や舌をかんだり傷つけてしまう
・不規則な生活や睡眠不足、ストレスや過労などによる抵抗力低下
・暴飲・暴食など栄養摂取の偏りや細菌やウィルスによる感染
・月経前のホルモンバランスの影響
代表的な口内炎は?
■アフタ性口内炎
もっとも多くの人に見られるタイプです。
患部は約2〜10mmの楕円形で、表面は白い膜でおおわれて、浅くえぐれているのが特徴です。
頬の内側や舌、唇の裏や歯ぐきにできやすく、痛みがあり食べ物がしみます。
通常1~2週間程度で自然に治りますが、繰り返しできるものは「再発性アフタ性口内炎」と呼ばれます。
■カタル性口内炎
口の中の粘膜に赤い炎症や斑点、水泡、ひび割れなどの症状がみられるのが特徴です。
炎症が強い場合は、表面が白く濁って唾液が粘っこくなり口臭が強くなることもあります。
刺激の強い食べ物がしみたり、ヒリヒリとした痛みを感じやすくなるのも特徴で、腫れにより味覚が鈍ってしまうという症状もあります。
■口腔ガンや舌がん
何週間も治らない口内炎や、舌の脇などに治らないしこりができたら、すぐに検診を受けましょう。
口内炎予防のポイント
1)口腔内を清潔にしましょう
食事の後には、うがいや歯みがきをしましょう。口内炎予防の第一歩は、口内環境を清潔に保つことです。
2)栄養バランスの良い食事をとりましょう
ビタミンB群を多く含んだ野菜や果物がおすすめです。ビタミンB群は粘膜の修復作用があり、細菌に対する抵抗力も高めてくれます。
3)規則正しい生活を心がけましょう
夜更かしや不規則な生活をしないようにしましょう。口内炎の発症は、体調とも大きく関係しています。口内炎の予防には規則正しい生活が一番です。
歯石のはなし
歯石とは何ですか?と聞くとまだまだ正しく理解されていないように思います。
歯垢と歯石の違いも含め、ここで詳しくお伝えしていきます。
お口の汚れとは
食べかすが挟まったり、歯磨きがうまくできなかったところはザラザラしたり、ベタベタした白いカスがつくなど、お口には色々なものが存在しています。
これらは食べかすを餌に生きている細菌の集まりと考えてください。
これまでに試薬を使って、汚れを赤く染めた経験はありませんか?
あの時に赤く染め出されたものが細菌の集まりです。
代表的なものとして挙げられるプラーク(歯垢)はこれを指すものと理解して良いでしょう。
他にも色々な種類の汚れがありますが、この歯垢に唾液中のミネラル分が付着して石になったものを歯石と呼んでいます。
プラークの特徴
プラーク(歯垢)は食事の後、数時間で目に見えるまでに作られます。
歯ブラシで除去できるぐらいのものなので、会話や唾液を飲んだりする動作によって舌や頬の粘膜がこすられて部分的には取れていきます。
プラークの中には歯周病菌や虫歯菌などが存在しています。
これらが日々口の中で生き、毒素を出して増殖しているのです。
しかし歯ブラシで取れるものなので、毎食後の歯磨きの質を高めれば、細菌を減らして歯周病のリスクを減らすことができます。
歯石の特徴
歯石とはプラークが唾液中のカルシウムと結合して、石灰化したものです。
主成分はミネラルを基本としていますが、中の細菌は死んで固まっているわけでなく、生きています。
歯石は歯磨きでは取れませんので、歯科医院に行ってクリーニングが必要になります。
唾液との結合なので、唾液の多い下の前歯が最も歯石が多く見られる場所です。
歯石は72時間あれば作られますが、基本的には日々の生活で大抵の汚れは歯石になる前に落とされています。
歯石を取るとは
歯石は歯科医院で、歯科医師か歯科衛生士など免許のある者のみが除去できます。
機械で歯石を崩して取っていくタイプと、金属の刃物で崩しながら仕上げていくタイプの除石があります。
仕上げは研磨作業を行います。
この研磨作業がしっかり出来ていないと、またすぐに歯石のつきやすい粗造な面になってしまうので技術が必要です。
歯の色、いろいろ
歯の色について話題になることがあります。
・ホワイトニングで歯の色のトーンを上げたい方。
・ステインという茶渋やたばこのヤニを含んだ色汚れを取りたい方。
・歯自体に見える白や茶色の色素にお悩みの方。
・詰め物やかぶせものの変色や境界線にみえる色が気になる方。
これらをまとめてこの色が・・・と相談されることがありますのでしっかりカウンセリングをして患者さんが何の色についてお悩みなのか判断していきます。
ホワイトニングがしたい
歯の色自体が黄ばんで見えるとか、結婚式前に真っ白な歯にしたい、等でホワイトニングをしたいという方は少なくありません。
時代とともに低価格で気軽にホワイトニング施術もできるようになり、ホワイトニングが身近に感じられるようになってきました。
着色汚れを取ってほしい
一番多いのは、ステインの除去を希望される方です。
お茶、コーヒー、紅茶、ワインやたばこなどの嗜好品による着色汚れは、歯科医院でクリーニングし、落とすことができます。
このクリーニングはあくまでも歯の表面にくっついている色素汚れをとるものですので、歯の色は本来の色味であり、ホワイトニングのように歯の色のトーンが上がり白くなっていくことはありません。
ただ、たばこや茶渋で歯が真っ茶色になっている方の場合、歯の表面が綺麗になり、白くなった様に見えることがあります。
これは汚れの度合いや着色の種類により、保険適用のクリーニングか、自費適用のクリーニングなのか、方法をご相談しながら進めることができます。
歯に埋まっているように見える着色
虫歯ですか?と聞かれることがあるのですが、茶色や黒、ときに白い色を歯に見て取れることがあります。
これは原因が様々で、虫歯以外にも脱灰(だっかい)と呼ばれる歯からカルシウム成分が抜け、虫歯になりかけると茶色くなったり、白くも見えたりすることがあります。
その判断は自分では難しいので歯科医師に見てもらいましょう。
詰め物の境界の色について
プラスチックの詰め物をした前歯や奥歯で、その境界線に色が見えたり、またプラスチック自体が色が変化して見えることがあります。
境界線の色については隙間に色素が入り込んだケースや虫歯になっていることも考えられます。
数年経ってから詰めたプラスチック自体の色が変化してくるケースもあります。
これはプラスチックが吸水性であるために、数年たって変色してしまっている状態です。
どちらも詰め物を詰め替えれば一緒にきれいにすることができるので歯科医師に相談しましょう。
詰め替えには多少歯の組織を削らなければならないこともあるので、そういったデメリットも理解しておく必要があります。
このようなに一言で「歯の色」と言ってもいろいろな原因や症状があります。
どのようにできた色なのか、色の種類によって治療の方法は様々です。
まずは歯科医院でその色についてしっかり解決方法を聞いてみてください。
歯ブラシの持ち方
歯ブラシの持ち方を見せていただくと、色々なことがわかります。手をグーのように握った状態で歯ブラシを持つ方、鉛筆を持つように歯ブラシを持つ方、また独自の持ち方をしている方もいます。
歯科衛生士の専門学校では歯ブラシをグーの手で握るような持ち方を掌握状(しょうあくじょう)、鉛筆と同じような持ち方を執筆状(しっぴつじょう)と呼び指導しています。呼び方が難しいので、一般の患者さまへの指導時には歯ブラシを握るように持ってください、とか鉛筆を持つように歯ブラシを持ちましょう、とお伝えします。
幼稚園や保育所などの指導ではまだ鉛筆持ちが難しいことがあるので、「歯ブラシをグーで握ってみましょうね。」とお話ししています。
歯ブラシの毛先がこちらを向いている時、「こんにちはの持ち方」、毛先が見えず柄の後ろ側しか見えていない状態を「さようならの持ち方」と伝えるとわかりやすいようです。
家族に小さなお子様がいる方は是非そのように伝えてみてください。
就学児童になると鉛筆で細かな字を書くことに慣れているので、鉛筆の持ち方で歯ブラシを持つように指導します。また手の不自由な方や高齢の方は、鉛筆の持ち方より握るように持っていただくこともあります。
主に二つの持ち方を挙げましたが、どのような違いがあるのでしょうか。
握るように歯ブラシを持つときは、いくらか力が大きく伝わる特徴があります。手のひらで歯ブラシを押しつけるように動かすからです。
また腕全体が大きく動くので、細かなブラッシングには不向きだと言えます。力を入れてこの持ち方で歯磨きをすると歯の根元が削れてきたり、しみてきたりなどの症状が現れることがあります。さらに食いしばり、噛み締め、スポーツの習慣 などで頬の筋肉が張っていたりする方は、さらにそこに力が加わり歯に過度な摩擦が起きてしまうので注意が必要です。
一方鉛筆持ちは指先だけで持つので、力が大きくは伝わりにくい特徴があります。
また字や絵を描くため小さな動きに慣れている持ち方なので、小さなお口を磨くのに適していると言えます。手首までの動きで済むので力や動きも小さく省エネ型のブラッシングと言えるかもしれませんね。
歯や歯ぐきは実はとてもデリケートです。
ゴシゴシと磨く歯磨きは歯ぐきが下がってしまったり、傷をつけてしまうなどデメリットが多いものです。柔らかな歯ぐきに、人体で一番硬い歯が生えているために磨きにくいのですが、出来れば柔らかくデリケートな歯ぐきに注目してケアをしてほしいと思います。ちょっと磨く力が強いと言われた方や、歯がしみやすいと思う方は歯ブラシの持ち方もチェックしてみてくださいね。