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インプラント治療のメリット・デメリットとは?
ご自身の歯を失ったあとの治療法に、入れ歯・ブリッジ・インプラントと、3つの治療法があります。
その中でもインプラントは大きなメリットがありますが、その反対にデメリットもゼロではありません。
当記事では、インプラントが入れ歯やブリッジと比較して、どのようなメリットやデメリットがあるのか解説していきます。
インプラント治療を始める前に、メリット・デメリットについてしっかり把握しておきましょう。
インプラントのメリット
①周囲の歯を削る必要がない
ブリッジの場合、歯を失った場所の両隣の歯を削る必要があります。
部分入れ歯の場合も、ブリッジのように大きく削る必要はありませんが、バネがかかる部分を少し削ります。
また、ブリッジも部分入れ歯も、実際には歯がないところを両隣の歯が支えることになるので、負担がかかり、歯の寿命を縮めてしまう可能性があります。
一方でインプラントは人工の歯根を単体で埋めるため、周囲の歯を削ったり、負担がかかる心配はありません。
②自分の歯に近い感覚で使用できる
入れ歯の場合、天然の歯と比較して、噛む力が大幅に低下してしまいます。
インプラントは自分の歯と同じような噛む力で使用できるため、違和感なくお食事を楽しめます。
また、入れ歯の場合、厚みがあったり、口の中の形に合っておらず隙間ができていると、喋りにくくなってしまうケースがあります。
インプラントの場合は、発音にあまり影響がないため自然な会話を楽しめます。
③審美性が良い
保険のブリッジの場合、治療する部位によっては、材料の選択肢が金属のみの場合があります。
また、部分入れ歯の場合も、バネが金属なので目立ってしまいます。
その点インプラントは、セラミックを人工歯に用いることで、天然の歯に近い審美性を回復することが可能です。
④顎の骨が痩せるのを防げる
歯を失ってしまうと、噛む力の刺激が顎の骨に伝わらないため、顎の骨が徐々に痩せてしまいます。
インプラントの場合は、顎の骨に人工歯根を直接埋め込むため、噛む力の刺激が顎の骨に伝わり、顎の骨が痩せることを防げます。
インプラントのデメリット
①健康保険が利用できない
インプラントは健康保険で取り扱うことができないため、自由診療になります。
そのため、健康保険適用の入れ歯やブリッジと比較すると、費用が高額になってしまいます。
しかし、なんでも噛める、健康を回復できるということは、費用以上の価値があります。
②治療期間が長い
埋め込んだインプラントと、顎の骨が結合するまで待つ期間も含まれるため、一般的な歯科治療に比べて治療期間が長くかかります。
お口の中の状態によって治療期間には個人差がありますが、通常はインプラント手術後、4〜8ヶ月程度かかります。
③外科手術が必要
インプラント手術は、歯茎を切って顎の骨を削る必要があります。
外科手術が嫌でインプラントを迷われる方もいらっしゃると思います。
手術の内容にもよりますが、通常の場合は歯を抜く程度で、痛みや腫れはそこまでありません。
手術は局所麻酔をして行うため、手術中に痛みを感じることはありません。また、当院では麻酔医による静脈内鎮静法をお選びいただけるため、快適に手術を受けることが可能です。
外科処置を伴うため、基礎疾患のある方は手術可能かどうか事前に相談する必要があります。
④定期的なメンテナンスが必須
人によっては、定期的なメンテナンスをデメリットに感じてしまうかもしれません。
インプラントは、天然の歯に比べて細菌感染に弱いという特徴があります。
金属とセラミックでできているため虫歯にはなりませんが、歯周病(インプラント周囲炎)にはなるため、日々のセルフケアと定期的なメンテナンスが必要不可欠です。
定期的なメンテナンスを怠っていると、インプラントの破損や、細菌感染などのトラブルの原因になってしまいます。
インプラントを長持ちさせるためにも、定期的なメンテナンスを受けましょう。
まとめ
以上のように、インプラント治療には、メリットとデメリットがあります。
インプラント治療が合っているのかそうではないのかは、患者さんの生活スタイルや、口の中の状況、考え方によって変わってきます。
インプラント治療におけるメリット・デメリットを把握し、納得した上で治療を選択しましょう。
自宅でできる?知覚過敏の治し方
知覚過敏とは?
虫歯でもないのに、歯ブラシの毛先が触れたり、冷たいものを食べたり飲んだりするとき、風にあたったときなどに、痛みを感じる症状を知覚過敏と言います。
痛みは一過性で、刺激がなくなると痛みもなくなりますが、場合によっては歯みがきに支障をきたすほど強い痛みを感じることもあります。
自宅でも治せる?
結論から言うと、自宅でも知覚過敏の症状を改善することは可能です。
ただし、知覚過敏の症状が軽度の場合に限ります。
今回は、自宅ですぐに始められる知覚過敏の治し方と、歯科医院でできる治し方についてご紹介します。
自宅でできる治し方①知覚過敏用の歯磨き粉を使う
知覚過敏用の歯磨き粉には、硝酸カリウムや乳酸アルミニウムといった成分が含まれており、その成分が歯の神経に通じる細かい穴を塞ぐことで、神経への刺激が伝わりにくくなります。
効果を得るためには、継続的に使用する必要があります。
軽度の知覚過敏であれば、2週間程度で症状が改善されますが、継続的に使用しても症状が改善されない場合は、他の原因があるかもしれません。
その際は、歯科医院を受診しましょう。
自宅でできる治し方②ブラッシング方法を見直す
歯を磨く際に力強くブラッシングすると、歯や歯ぐきを傷つけ、知覚過敏の症状を引き起こす原因となります。
ゴシゴシと強い力で磨くのではなく、歯ブラシの毛先が広がらない程度の軽い力で磨くことが大切です。
硬めの歯ブラシを使用すると、歯が削れたり歯ぐきが傷ついて下がってしまうこともあるため、柔らかい歯ブラシを使い、優しく磨くよう心がけましょう。
歯科医院での治し方①知覚過敏用の薬を塗る
歯がしみやすくなっている部分に専用の薬剤を塗布することで、神経への刺激が伝わりにくくなり、しみる症状を抑えることができます。
一度の塗布で症状が改善される場合もありますが、複数回の塗布が必要な場合もあります。
効果には個人差があるため、症状が改善しない場合は、他の治療法を検討する必要があります。
歯科医院での治し方②歯科用プラスチックで削れた部分を覆う
歯の根元が削れてしまってしみる症状が出ている場合は、削れた部分を歯科用プラスチック(コンポジットレジン)で覆うことで、症状が改善します。
だいたいの知覚過敏の症状はこの方法で改善することが多いですが、歯科用プラスチックを詰めるために、必要に応じてわずかに歯を削る必要があったり、処置の際にしみる症状が出ることもあります。
また、歯ぎしりや食いしばりの力が歯にかかり続けると、詰めたプラスチックが取れたり、すり減ることがあるため、定期的な検診でチェックしてもらうことをおすすめします。
歯科医院での治し方③マウスピースを使用する
歯ぎしりが原因で知覚過敏の症状を起こしている場合は、マウスピース(ナイトガード)を使用して治療を行います。
自分で歯ぎしりや食いしばりをしないよう意識することも大切ですが、就寝中の歯ぎしりは無意識に行われるため、治すのは簡単ではありません。
マウスピースを装着して寝ることで、就寝中の歯ぎしりによって歯の表面や根元が削れるのを防ぐことができます。
歯科医院での治し方④歯周病治療をする
歯周病が進行すると、歯ぐきが下がり歯の根元が露出して、歯がしみる症状が出やすくなります。
歯周病治療では、歯垢(プラーク)や歯石を取り除くことで歯周病の進行を防ぎ、健康な歯ぐきを取り戻します。
歯石を取り除くと、歯石によって隠れていた部分が露出し、しみる症状が一時的に強くなることがあります。
しかし、知覚過敏の症状を恐れて歯垢や歯石を放置すると、歯周病が悪化し歯ぐきがさらに下がる可能性があるため、まずは歯周病を改善し、歯ぐきが下がることを食い止める必要があります。
まとめ
今回は、知覚過敏の自宅でできる治し方と、歯科医院でできる治し方についてまとめました。
自宅での知覚過敏用の歯磨き粉の使用や、日々の正しいセルフケアによって、知覚過敏の症状は改善できます。
しかし、知覚過敏だと思っていた症状が、実は虫歯だったというケースもあります。
自宅でのセルフケアで症状が改善しない場合や、しみる症状が続く場合は、お早めにご来院ください。
身近なお口のトラブル「口内炎」
口内炎ができてしまい、食事をするときや歯磨きをするときにとても痛い。
でも気が付いたら治っていた、なんて経験はありませんか?口内炎は、口の中やその周辺の粘膜におこる炎症の総称です。
頬っぺたの内側にできることが多いですが、唇にできるものは「口唇炎」、口角にできるものは「口角炎」、舌にできるものは「舌炎」と呼ばれ、お口の中の広い範囲で発生します。
また、一つだけできることもあれば、何個もできてしまったり、同じところにできたり、その症状はさまざまです。
口内炎の原因は、ストレスや栄養不足などによる免疫力低下や、口の中を噛んでしまうなどの物理的刺激、ウイルスなどによる感染など様々です。
他の病気の一症状として起こる場合もあるので、長引く場合は注意が必要です。
口内炎の種類
アフタ性口内炎
一般的にもっとも多くみられる、表面が白く、大きさが2~10㎜ほどの浅い潰瘍性の口内炎です。
少し触れただけでも鋭い痛みを感じます。
治療を行えば1週間程度で治りますが、それ以上経過しても治らない場合は、腫瘍(癌)が潜んでいたり、治るけど何度も再発してしまう場合は、他の病気が関係したりしている可能性があるため注意が必要です。
カタル性口内炎
入れ歯や矯正器具が接触したり、ほおの内側を噛んでしまったりしたときの細菌の繁殖、熱湯や薬品の刺激などが原因で起こる口内炎です。
アフタ性とは異なり、境界が不明瞭で、唾液の量が増えて口臭が発生したり、口の中が熱く感じたり、味覚がわかりにくくなることもあります。
ウイルス性口内炎
ウイルスが原因で起こる口内炎もあります。
ヘルペスウイルスの感染が原因の「ヘルペス性口内炎(口唇へルペス)」は、主に唾液などの接触感染や飛沫感染によって感染します。
またカビ(真菌)の一種であるカンジダ菌は、もともと口の中に存在する常在菌のひとつですが、免疫力が低下したりすると増殖し、「カンジダ性口内炎」を発症することがあります。
口内炎が長引く場合は?
口内炎の症状があまりにも辛いと食事をするのも億劫になってしまいます。
辛いと感じたら早めに歯医者を受診してください。
また、口内炎がなかなか治らない場合は、全身疾患による免疫低下や口腔がんなど、重大な病気が隠れている可能性があります。
口内炎だと決めつけて放置し、口腔がんが進行して取り返しのつかなくなったというようなケースもあります。
「たかが口内炎」と決めつけず、2週間以上治らない場合は、早めにご来院してください。
お口のなかに銀歯はありますか?
暑い夏、冷たい飲み物を飲むとズキーンと痛みが知り、その原因が銀歯だったというケースは少なくありません。
みなさんのお口のなかに銀歯はありますでしょうか?
数年前までは虫歯治療は銀歯が主流でした。
日本で多く使われている銀歯は金・銀・パラジウムなどの金属をかけ合わせた「金銀パラジウム合金」と呼ばれる金属です。
加工しやすいため保険治療で使われており、何らかの形で口の中に銀歯が残っている成人は全体の7~8割を占めると言われています。
しかし、欧米ではセラミックの治療が一般的であり、銀歯はほとんど使用されていません。
ドイツではパラジウムが体に与える悪影響の観点から使用禁止の勧告がされており、スウェーデンにおいては小児・妊婦への使用が禁止されています。
銀歯は、保険制度によって安価に使用できることがメリットですが、ロシアのウクライナ侵攻で、金銀パラジウムの価格が高騰しており、患者さんの負担も以前に比べて多くなっています。
銀歯のデメリット
金属アレルギーを引き起こしやすくなる
お口の中の銀歯が唾液に触れると、金属の成分が溶け出して金属イオンになります。
この金属イオンが体の中のたんぱく質と結合してアレルギーの原因となるアレルゲンとなり、時間とともにこのアレルゲンが体内に蓄積され、金属アレルギーを引き起こすリスクが高まってしまいます。
二次むし歯になりやすくなる
銀歯は高温になると金属が膨張し低温になると収縮しますが、歯と熱膨張係数が違うので、熱いお茶を飲んだり、冷たいアイスを食べたりしたときに、金属と歯をくっつけているセメントが剥がれ、そこから唾液が入りこんで銀歯の下が虫歯になってしまうのです。
歯は何度も治療できないので、長持ちするセラミックがお勧め
銀歯の下が虫歯になっても、また治療をやりなおせばいいじゃないか、とお考えの方もいると思います。
しかし、治療を繰り返すたびにむし歯になったところを削るので、三度ぐらい繰り返すと神経を抜かなければならなくなってしまいます。
最近は保険でもプラスチックとセラミックを混ぜた白い歯を選べるようになりました。
しかし柔らかいため、大きく歯を削る必要があります。
また、大きな荷重がかかると、たわんで脱離したり破折したりすることがあり、神経を抜く治療が必要になることもあります。
そのため当院としては、身体に優しくて長持ちし、白くてきれいなジルコニアなどのセラミック治療をおすすめしています。
自費治療になりますが長持ちするので、長い目でみれば保険治療を繰り返すよりも生涯の歯科治療費が安くなる可能性もあります。
順番に銀歯をセラミックに付け替えていくことも可能ですので、お気軽にご相談ください。
歯が溶けていく!? 酸蝕歯とは?
酸蝕歯とは?
歯周病、虫歯に次ぐ第3の疾患として酸蝕症が注目を集めています。
小さい頃「コーラを飲むと歯が溶ける」と言われた経験はありませんか?
実は本当です!
私たちの歯は、食べ物や飲み物に含まれる酸に長時間触れ続けると、簡単に溶けだしてしまうのです。
歯を覆っているエナメル質は、体のなかで最も固い組織ですが、強い酸に触れると化学反応を起こして分解し、溶けだします。
エナメル質が溶けると、その下にある象牙質がむき出しになります。象牙質は柔らかいので、摩擦でどんどん磨り減って行きます。
また着色しやすくなります。
こうした状態を放置していると、虫歯になりやすくなったり、冷たいものが滲みる知覚過敏になったり、歯のトラブルを引き起こしやすくなるのです。
現在このような酸蝕歯の罹患率は国民のおよそ4人に1人もいると言われています。
酸蝕歯は夏こそ気をつけよう
歯のエナメル質は、pf5,5以下で溶け始めます。
この表は、普段よく口にする飲み物のpHの数値です。ミネラルウォーターのpH7が中性です。
通常は唾液の自浄作用が働いているため、PH値の低い飲み物を飲んでも、すぐにはむし歯にはなりません。
唾液には、歯の汚れを洗い流す働きと、酸を中和する働き、そして溶けた歯の再石灰化を促進する働きがあるからです。
しかし、長い時間をかけてちびちび甘い飲み物を飲み続けると、お口の中が酸性環境に長くさらされ、唾液による再石灰化の時間が短くなって、酸蝕歯になるリスクが高くなります。
夏は、スポーツ後の水分補給にスポーツドリンクを飲む機会が多くなります。
また、健康意識の高い人で「ビタミンドリンク」や「酢ドリンク」を日々愛飲している方も要注意です。
水分補給はなるべく水かお茶で。
ジュースやスポーツドリンクを飲むときは短時間で飲み切って、飲み終わったらすぐに水で口をゆすぎましょう。
ホワイトニングで明るい笑顔に!
新型コロナ対策としてのマスクの着用について、政府は、3月13日から屋内・屋外を問わず個人の判断に委ねる方針を決定しました。
これから人前でマスクを外す時間が長くなっていくと思いますが、3年間もマスクを着けて生活をしていたので、外すのが恥ずかしく感じる方もいるかもしれませんね。
歯が白くなると「レフ板効果」でお顔が明るく見え、口元も健康的に見えます。笑顔に自信をつけるため、今のうちにホワイトニングをしてはいかがでしょうか?
なぜ歯が着色するの?
歯の着色の原因には、ステインによるものと、歯そのものの色によるものがあります。
ステインによる着色
コーヒーや紅茶、赤ワイン、カレーなどの飲食物や、たばこのヤニなどが原因の着色です。
歯の表面に付着した汚れなので、歯科医院でクリーニングを受ければきれいに落とすことができます。
歯そのものの色
歯は、エナメル質、象牙質、神経という3つの構造からなっています。
エナメル質は半透明で、歯の色は象牙質の色に左右されます。象牙質の色には肌や髪の色と同じように個人差があり、生まれつき白っぽい人もいれば黄色味を帯びた人もいます。
日本人は、歯の表面のエナメル質が相対的に薄いため歯が黄色く見える人が多いといわれています。
このエナメル質は加齢により次第に薄くなるので、中高年になると象牙質が透けて、黄ばんで見えてくるのです。
これを白くするにはホワイトニングが有効です。
ホワイトニングの種類と仕組み
歯科医院で行うホワイトニングには、大きくわけて2種類あります。
ホームホワイトニング
歯科医院で専用のマスピースを制作し、患者様自身に自宅で行ってもらうホワイトニング。
白くなるのに2か月ほどかかりますが、透明感のある白さに仕上がります。自分のペースで行うことができます。
オフィスホワイトニング
歯科医院で有資格者に専用の機器を用いて行うホワイトニングです。
1回の施術でも効果が出やすいといった特徴があります。
※ただし、どちらも10ヶ月ぐらいで色が戻ってくるため、繰り返して行なう必要があります。
~白くなる仕組み~
①色素を分解する…歯科専用のホワイトニング剤に含まれる過酸化水素が歯の内部に浸透し、色素と反応し分解します。
これにより、歯の黄ばみが漂白され、歯そのものの色が白くなります。
②光を反射させる効果…ホワイトニング剤が歯の表面の組織構造を曇りガラス状に変化させることで、光の乱反射が発生し、黄ばみが白く見えます。
ホワイトニングにご興味をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。
抜けた歯を放置するとどうなる?
歯周病や事故で残念ながら歯を失ってしまったとき、「抜いたのは奥歯で目立たないから」「1本くらい歯がなくても不便はないから」「痛みはないから」と抜けたまま放置してしまうと、時間が経つにつれ様々なお口や体の不具合が出てしまいます。
歯並びや噛み合わせが崩れる
歯は、空いたスペースを埋めようとする働きがあります。
歯が抜けた部分をそのままにしていると、両側の歯が傾いて倒れてきたり、反対側の歯が伸びてきて歯並びや噛み合わせが乱れ始めます。
見た目が悪くなる
歯が抜けると歯茎が下がってきます。
また、歯並びのバランスが悪くなると、頬がこけたり、口元の皺が増えたりして、顔の見え方が変わってきます。
歯が抜けている所は、笑った時やお話をしているときに目立ちます。
そのため、あまり笑えなくなって表情が不自然になったり、口元を手で隠すような仕草も増えてきます。
胃腸に負担がかかる
歯が抜けてしまうと噛む能力が下がるため、食べ物をうまく噛めないまま飲み込んでしまいがちになります。
そうすると胃に負担をかけ、消化不良を招きます。
きちんと栄養を吸収できなければ、免疫力が低下し、栄養不良に陥って、フレイル(虚弱)体質になっていきます。
認知症のリスクが上がる
歯が抜けると、噛むことによる脳への刺激が減少して、認知症のリスクが高まります。
奥歯を一本失うと、なんと40%もかみ砕く力が低下し、認知症のリスクは2倍になるといわれています。
歯を失ったときの治療法の比較
歯を失った際には、主にインプラント、入れ歯、ブリッジの3つの治療法があります。
歯科医師と相談の上、ご自分にとって納得のいく治療を選びましょう。
インプラント
メリット
・天然歯と同じような仕上がりになる
・自分の歯と同じように噛める
デメリット
・保険がきかない
・手術が必要
入れ歯
メリット
・治療回数や通院回数が比較的短い
・種類が選べる
・手術が不要
・保険がきく素材もある
デメリット
・違和感がある
・目立つ
・毎日のお手入れが必要
ブリッジ
メリット
・治療回数や通院回数が比較的短い
・手術が不要
・保険がきく素材もある
デメリット
・汚れがたまりやすい
・両隣の歯を削る必要がある
・隣の歯が健康な場合、削ることに抵抗感がある
歯周病と骨粗鬆症の関係
骨粗鬆症はどんな病気?
骨粗鬆症は、全身の骨強度が低下し、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気で、日本では推定約1.000万人以上いると言われています。
骨粗鬆症になると、背中がまがる、身長が縮む、背中や腰が痛むといった症状だけでなく、骨がもろくなるため、背骨が体重を支えきれずにつぶれたり、胸骨が圧迫骨折を起こしたりします。
また、転倒した時に手をついて、手首や肩等を骨折しやすくなります。特に高齢者は、骨折から長期入院となり、寝たきりや認知症になってしまうケースもあります。
骨粗鬆症と歯周病の関係
骨粗鬆症は女性に多い病気です。閉経により、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下し骨密度が低くなるからです。
歯を支える歯槽骨も脆くなります。また、歯周ポケット内に炎症を引き起こす物質が作られ、歯周病が悪化しやすくなると考えられています。
歯周病によって歯を失うと、かむ能力が低下して、食物の消化吸収力の低下を招きます。
その結果、低栄養となり、更に骨粗鬆症を悪化させるという悪循環に陥ることもあります。
愛知学院大学短期大学部の研究で、「残っている歯の数」と「骨密度」の関係性を調べたところ、「正常な骨密度の人の90%以上は歯が20本以上残っていた」が、「骨密度が低い人の70%は歯が20本未満しか残っていなかった」ことが分かりました。
また、歯周病の進行度と骨粗鬆症との関係性では、歯周病が進行しているほど、骨粗鬆症の疑いが強いと診断される人が多かったそうです。
骨粗鬆症と歯周病を予防するには?
カルシウムやイソフラボンを摂る
骨の強度はホルモンの影響を強く受ける事が分かっています。女性の場合、エストロゲンというホルモンが多ければ多いほど骨密度も上がります。
乳製品や大豆製品、小魚、緑黄野菜、海草など、カルシウムを沢山ふくんだ食品をしっかりとりましょう。
また、イソフラボンは、エストロゲンと同じような働きをする力があります。納豆・豆腐・味噌・しょうゆ・豆乳・きなこ・油揚げ・厚揚げなどに含まれているので、毎日摂取しましょう。
よく噛んで食べる
だ液には、口の中の細菌を洗い流してくれる自浄作用があります。よく噛んで食べることは歯周病予防に効果的です。
定期的に歯の予防処置を受ける
毎日歯磨きをしていても、汚れは落としきれません。
その落としきれない汚れが歯石になり、やがて歯周病になってしまうリスクもあります。
歯科医院で、定期的にプロによる予防処置を受けましょう。
歯に関する豆知識、ウソ!?ホント!
歯垢 (プラーク)は食べ物のカスが腐った物
→ウソです!
プラークは食べものの残りカスが歯の表面につき、それを餌にして細菌が繁殖したものです。
食後8時間程度でプラークができるといわれ、プラーク1mgのなかには、およそ300種類1億個ものの細菌が存在しています。
この中に、むし歯や歯周病の原因になる菌がひしめいています。
歯垢は虫歯、歯周病、口臭の原因になります。食後には歯磨きをして、清潔なお口を保ちましょう!
犬や猫は歯周病にならない
→ウソです!
犬や猫も歯周病になります。犬や猫は口腔ケアが難しいので、人間以上に様々な歯周病菌が生息している可能性があります。
キスや食器、食べ物の共有をすると、飼い主が歯周病に罹患するリスクが一気に高まります。
可愛いペットですが、スキンシップは気をつけましょう。
歯垢は丁寧な歯磨きで全て落ちる
→ウソです!
毎食後の歯磨きは虫歯予防の第一歩。
しかし歯ブラシで磨くだけでは60%しか歯垢が落としきれません。
「歯間ブラシ」や「デンタルフロス」も取り入れ、歯の隙間や、奥に詰まった汚れを丁寧に掃除する習慣をつけましょう。
また、3ヶ月に一度は歯科医院でクリーニングを受けましょう。
歯医者に行く前には歯磨きをしたほうがよい?
→ホント!
歯科医院では、日常的な歯磨きの磨き残しの状態をみるプラークスコアという数値をつけます。
10〜20%程度で維持できれば歯周病を予防できます。
しかし、歯磨きをせずに歯科医院に行くと、日ごろから全ての歯に磨き残しがあると受けとめられてしまいます。
誰しも歯磨きにはクセがあり、特定の場所に磨き残しが出やすくなります。
その場所を歯科衛生士に教えてもらい、磨き方のクセを是正してもらうことが、歯周病や虫歯を予防するために大切です。
歯周病で死ぬことがある
→ホント!
日本人の8割が歯周病に罹患していると言われています。
歯周病菌は、唾液を介して肺に入り込んだり、歯ぐきの中の毛細血管を介して体に入り込んだりして全身の至る所で悪さをします。
体に入り込んだ歯周病菌は、心臓や血管内で血栓を作りやすくし、心筋梗塞や脳梗塞の原因になります。
また、肺炎、糖尿病、骨粗鬆症、低体重児出産、認知症の原因の一つになっていることも分かってきました。
更に、高齢者の死因第1位の誤嚥性肺炎にも、歯周病菌が関係しています。
歯周病は自分では気がつきにくい病気です。歯茎から血がでたら、すぐに歯科医院で治療を受けましょう!
口腔がんは早期発見が大切
口腔がんとは?
口腔(こうくう)とは、お口の中全体を指します。
そして、そこにできるがんを総称して「口腔がん」と呼んでいます。
タレントの堀ちえみさんの罹患で注目されました。
舌や頬、歯ぐきなど、様々な部位にできますが、最も多いのは舌にできる舌がんです。
日本では年間約8,000人(2016年)が口腔がんになります。
がん全体のおよそ1%ですが、年々増加しており、30年前と比べると約3倍に増えています。
口腔がんは、初期症状のうちに発見すれば簡単な治療で治すことができ、後遺症もほとんど残ることはありません。
しかし進行した口腔がんでは、手術により舌やあごの骨を切除するため、顔が変形することがあります。
このため、日常の生活に大きな支障を残すことがあるのです。
だからこそ、早期発見が重要です。
口腔がんは痛みがない!?
口腔がんは痛みを伴わないものが多く、口内炎と間違われてしまうことがあります。
口内炎は長くても二週間程度で治りますが、なかなか治らない場合は、口腔がんが疑われます。
その他の特徴として、かみづらい感じがする、舌などにしびれを感じる、頬・舌に動かしづらさを感じる、首のリンパ節の腫れが3週間以上続く、などの変化や違和感が表れることもあります。
自分で見つけましょう
口腔がんは、自分で見つけることができます。
早く見つかればほとんどが治せるのです。
月に一度、明るい場所で鏡を見ながら確認し、次の様な異常が見られたら歯科口腔外科にかかりましょう。
口腔がん自己チェックのすすめかた
1. 下唇の内側と、下あごの歯肉とその間を見て、触ってください。
2. 上唇の内側と、上あごの歯肉と、その間を見て触ってください。
3. 頬の裏側の粘膜を見て、触ってください。
4. 舌を前に出し、舌の両側、下側をよく見て触ってください。
5. 下顎から首にかけて触って見てください。
こんな症状が見られたら、すぐに歯科口腔外科を受診しましょう
□ 口内炎や口の中の傷が2週間経っても治らない
□ 口の中にしこりや腫れ、ザラザラしたところがある
□ 口の中に色の違う部分がある(白斑や赤斑など)
□ 口の中(舌・歯肉・頬粘膜・口唇・口蓋から出血する)
□ 最近、痛みや腫れで急に入れ歯が合わなくなってきた
□ 歯以外の所がしみたり、ヒリヒリする
□ 噛んでしまった場所や、抜歯後の傷がなかなか治らない