デンタルニュース
「歯医者の治療で終わりが見えない…」理由や解決策を紹介
デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
歯医者に行った時に毎回「次はいつにされますか」と聞かれ、「治療に終わりが見えない」「いつまで通えばいいの」と思うことってありますよね。
通い続けるのが嫌で通わなくなってしまう方もいると思います。
私も以前、歯医者ではありませんが、接骨院に数ヶ月間通い終わりが見えないと感じ、通うことが嫌になってしまった経験があります。
プライベートの予定も立てにくい上に、1回にかかる治療費が数千円だとしても、週に1〜2回通っていると月数万円になってしまうので、痛い出費ですよね。
この記事では、歯医者の治療が、終わり見えないと感じるほど長くなってしまう理由について解説しています。
また、治療期間を短くするための方法や、治療期間を短くしてもらうための伝え方について考えてみたので、歯医者の治療に終わりが見えないと感じている方は参考にしてみてください。
歯医者の治療期間が長くなる理由
歯医者に通っていて治療に終わりが見えないと感じるのは、治療期間が思っていたよりも長くかかってしまっているからだと思います。
しかし、治療期間が長くかかってしまうのには複数の理由があるのです。
ひとつずつ解説します。
⒈虫歯の進行具合
一言で「虫歯治療」と言っても、虫歯の進行状況によって治療の期間は大きく違います。
初期の小さな虫歯の場合、1回の治療で終わることもありますが、神経まで進行した虫歯の場合、1ヶ月以上の治療期間がかかることが多いです。
なぜこんなにも治療期間に差が出るのか?
それは、小さな虫歯の場合、虫歯を削ってプラスチックの材料で埋めるだけで済みますが、神経まで達した虫歯の場合、根管治療(歯の根の治療)で5回前後と、歯の土台作り、被せ物を型取りしてセットするまでと長い道のりであるためです。
2.全体のバランスを考慮している
虫歯が複数ある場合は、一度に全ての治療を行いません。
小さな虫歯なら同時に行うことがあるかもしれませんが、ある程度の大きさの虫歯を左右同時に行ってしまうと、治療期間中に噛めるところがなくなってしまったり、本来の噛み合わせの位置がわからなくなってしまいます。
全体の噛み合わせの状態を見ながらバランスを考えて治療を行うため、複数回の通院が必要になります。
3.患者様への負担を考慮している
一度に多くの虫歯の処置を行うためには、治療中に長時間お口を開けていなければいけません。そのため、患者様への負担が大きくなってしまいます。
また、前述したように、噛めるところがなくなってしまうと治療期間中に食事がしづらくなるなど日常生活に支障が出る可能性が高いため、治療をわけて行うことがあります。
4.保険診療のルール
健康保険適用の歯科治療では、原則として一度に多くの治療を行うことはできません。
健康保険内で行う治療は、処置ごとに保険点数が決まっています。この点数が高い患者様が多い歯科医院は、厚生労働省から指導や処分を受けることになります。
また、歯医者の予約システムの都合も関係しています。
一人あたりに長時間の診療時間を確保していると、他の患者様の予約がとりづらくなってしまいます。 患者様への治療を複数に分けて行うことで、一回あたりの診療時間が短くなり、多くの患者様が予約を取りやすくなります。
5.メンテナンスを継続する必要があるため
治療以外にも、メンテナンスについて終わりが見えないと感じる方もいらっしゃると思います。
メンテナンスというのは生きている限り一生続くものであるため、終わりはありません。
歯の健康を維持するためにはメンテナンスは不可欠だからです。
そのため、歯医者側からメンテナンスに通うよう指示されることがあります。
私も歯科衛生士という立場からすると、メンテナンスに通わないというのはおすすめではありませんが、嫌であれば断ることもできます。
中には仕事が忙しく、メンテナンス期間を長めに設定している方も居るので、メンテナンスに通うことを負担に感じるようであれば、担当医に相談してみましょう。
治療期間を短くするためにはどうしたらいい?
実際に治療期間を短く済ますためには、何かできることはあるのでしょうか?
いくつか取り組めそうな対策を考えてみました。
1.定期的な歯科検診を受ける
小さな虫歯など初期のうちは症状がわかりにくく、自分で気がつかないことが多いので、検診で見つけてもらうことが大事です。
また、定期的に歯科検診を受けている方は、お口の中も定期的なプロケアでメンテナンスされているので清潔に保たれ、虫歯や歯周病になりにくい環境であると考えられます。
2.早期発見・早期治療を心がける
虫歯ができても小さなうちに見つけることで、大掛かりな処置になる前に治療ができます。
定期的に歯科検診を受けたり、日常でのわずかな異変(フロスが引っかかる、舌での触感の変化、噛んだ時の違和感など)を感じたら早めに受診することが大事です。
3.日頃から丁寧な歯磨きを行う
治療が必要になる主な原因は、歯周病や虫歯であることがほとんどです。
日頃から丁寧な歯磨きを行うことで、お口の中の細菌数を減らすことができるため、歯周病や虫歯になりにくくなります。
実際に日々メンテナンスを行っている私の立場から見ても、しっかりセルフケアができている方は、お口のトラブルが少ないように感じます。
4.必要に応じて自費診療を検討する
自費診療にしても治療期間が変わらない処置もありますが、保険点数のルールなどは関係なくなるため、場合によっては治療期間を短くすることが可能かもしれません。
担当医に相談してみると良いでしょう。
歯医者に治療期間を短くしたいと伝える方法
治療期間を短くしたいけど、そう伝えたところで短くしてもらえるのか?どのように伝えたらより短くしてもらえるのか?
治療期間を短くしてもらうための効果的な伝え方についてご紹介します。
1.治療方針の相談
まずは担当医に、今後の治療方針についてしっかり説明をしてもらいましょう。
その上で、「治療期間をできるだけ短くしたいこと」「仕事やプライベートの予定で長期の通院が難しいこと」「短期で集中して治療を行うことは可能か」というポイントを伝えましょう。
全てを担当医任せにせず、どういった治療でどのくらいの間隔が必要なのかなど、治療方針を自分でも把握しておくと、予定を立てやすいです。
2.具体的な要望を伝える
ただ「治療期間を短くして」と伝えるよりも、具体的に「1回の診療時間を長くすることは可能か」「複数の歯を同時に治療はできないか」「より効率的な治療方法や最新の機器の使用は可能か」などの提案を伝えることで、担当医側も答えやすくなります。
3.自分の状況を説明する
治療期間を短くしたい理由がある場合は、自分の状況を事前に伝えておきましょう。
「転勤や引っ越しの予定がある」「海外出張や長期休暇の予定がある」「痛みや不安感が強く、治療を早く終えたい気持ちがある」というのは理由としてよく耳にします。
担当医としっかりコミュニケーションをとることで、より効率的な治療計画を立てることにつながります。
まとめ
歯医者での治療は、通っているとひたすら終わりが見えないと感じてしまうこともあると思います。
しかし、自分でもお口の中の状況を把握し、治療の流れを理解することができれば、治療の終わりまでの道のりがわかります。
治療の全体像を把握すると、案外終わりが見えてくることもあるでしょう。
また、全てを担当医任せにせずに、自分の状況などを説明したり、担当医と治療について相談することも、治療期間を短くするためには必要です。