2025-03
ドライマウスの原因は?治し方も紹介
日本橋の歯医者「日本橋グリーン歯科」デンタルニュース担当スタッフ、歯科衛生士の平野です。
「最近口の中が乾燥する」
「もしかしてドライマウスかも?」
ドライマウスとは、お口の中が乾燥してしまう病気です。
ドライマウスになると、お口の中が乾燥する不快感だけでなく、乾燥によって細菌が繁殖しやすくなり、虫歯や歯周病にもなりやすくなってしまいます。
また、お口の乾燥は口臭も引き起こします。
乾燥がもっとひどくなると、ヒリヒリと痛みを感じたり、喋りにくくなったり、口内炎や感染症のリスクも高まります。
私は以前シェーグレン症候群でドライマウスの方のメンテナンスを担当していたことがありますが、とても綺麗にセルフケアされているのに、歯ぐきから出血がしやすかったです。
お口の乾燥は、歯ぐきの炎症を引き起こしてしまいます。
このように、お口の乾燥を放っておくと、乾燥の症状以外にも様々な弊害があります。
ドライマウスは生理的なものや病気が原因の場合もありますが、生活習慣によって引き起こされている場合もあるので、生活習慣を改善することによって治る場合もあるのです。
この記事では、ドライマウスの原因と、治し方についても紹介しているので、お口の乾燥が気になる方は参考にしてみてください。
ドライマウスの原因
ドライマウスになるには、いくつか原因が考えられます。
また、一つの原因だけでなく、いくつかの要因が合わさって関係していることも多いです。
①生理的な原因
脱水
水分摂取が不足していると、ドライマウスの原因となってしまいます。
体の中の水分量が不足し、唾液腺から十分な唾液量が分泌されなくなることで起こります。
日常の水分摂取不足以外にも、発熱時や下痢・嘔吐の症状で起こる場合もあります。
加齢
年を重ねることによって、唾液腺の機能が低下したり萎縮し、唾液の分泌量が減ります。
さらに、長年にわたり歯を使ってきたことで、若い頃より歯の本数が少なくなっている方も多いです。歯が少なくなると、当然噛む力も減少してしまうため、唾液の分泌量の低下に繋がります。
また、女性は更年期の女性ホルモンの関係によっても、唾液の分泌量の減少が起こりやすいです。
このような理由などから唾液の量が減って乾燥し、ドライマウスの原因となってしまいます。
口呼吸
口呼吸を行っていると、お口の中が乾燥し、ドライマウスになりやすいです。
鼻炎などで鼻呼吸ができない方や、歯並びの関係でお口が閉じにくくなってしまっている方は注意が必要です。
②疾患からくるもの
病気によるもの
糖尿病や腎臓病、シェーグレン症候群などの全身疾患が原因で、お口の中が乾きやすくなることがあります。
薬・治療の副作用によるもの
高血圧やアレルギーの薬、抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、抗不安薬など、様々な薬の副作用で唾液の分泌が抑制されてしまいます。治療で長期間に渡って服用していると、ドライマウスのリスクが上がってしまいます。
また、頭頸部への放射線治療によっても、唾液腺が影響を受けドライマウスの症状が起こることがあります。
③生活習慣によるもの
喫煙・飲酒
タバコのニコチンによる血管収縮や、粘膜への刺激、交感神経の影響などで、唾液の分泌が減少します。
アルコールには利尿作用があるため、過剰摂取することで、水分が減りドライマウスを引き起こす可能性があります。
ストレス
ストレスを感じると、自律神経の作用により唾液の分泌が減ってしまい、口が乾きやすくなります。
何か重要な面接時などに、緊張で口が乾いた経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一時的なストレスであればそこまで影響はないものの、日常的にストレスや緊張を感じやすい人はドライマウスになりやすいです。
食生活
食事をよく噛むことで、唾液の分泌は促進されます。
しかし、柔らかい食べ物や、あまり噛む必要がないものばかり食べていると、唾液の分泌される量が減少してしまいます。
特に現代の食生活では、ファーストフードなどの柔らかいものが増え、噛む回数が少なく済んでしまう食事が多いです。
会話の減少
現代は、メールやメッセージアプリ、SNSの普及などから、実際に会話する機会が減りつつあります。
また、新型コロナウイルスの影響で、リモートワークを行う方も増え、必然的に日常の会話が減ってしまっているのではないでしょうか。
会話が減ることで、お口の周りの筋肉を使わなくなり、唾液の分泌が減ってしまいます。
ドライマウスの治し方
生活習慣の影響を受けてドライマウスになってしまっている方は、ご自分の日常的な対策でドライマウスの症状を改善させることが可能です。
専門家の元でご自分がドライマウスになっている原因を調べ、ご自分の原因に合った対策をすることが大切です。
①原因療法
生活習慣の改善
日頃から水分摂取が足りてない方は、まずは水分をとることから始めましょう。
飲み物を飲んでいるつもりでも、カフェインやアルコールが含まれていると利尿作用が働いてしまうため、摂取する飲み物の種類にも注意が必要です。コーヒーや緑茶などは利尿作用があるので、水や麦茶で水分摂取をしましょう。
また、禁煙やストレスをためないようにすることも大切です。
口呼吸の改善
日頃から口呼吸になってしまっている方は、意識して鼻呼吸を心がけましょう。
歯並びの関係でどうしてもお口が閉じにくい方は、これを機に矯正治療を考えてみても良いかもしれません。
薬物の調整
ドライマウスの原因となっている薬がある場合、薬の量や種類の変更は可能か、医師に相談してみると良いでしょう。
②対処療法
保湿
薬局では、乾いたお口の中を潤すための口腔保湿剤が市販されています。ジェルタイプ、スプレータイプ、リンスタイプなど、様々なテクスチャーのものがあります。
ジェルタイプは長時間止まりやすく潤いが長続きしやすい、スプレータイプは即効性があり持ち運びもしやすい、リンスタイプはお口の中に満遍なく行き渡らせることができるなど、それぞれ利点があります。試してみてご自分で使いやすいものを選ぶと良いでしょう。
食事・生活の工夫
しっかりとよく噛んで食事をすることで、唾液腺が刺激されるため、唾液の分泌が良くなります。
なるべく歯ごたえのある食材を選んだり、一口30回を意識して噛むと良いでしょう。
また、ガムを噛むことも唾液腺の分泌に効果的です。
あまり水分をとる習慣がない方は、こまめな水分補給を意識して生活しましょう。
また、日頃から加湿器を使用しましょう。
私は部屋に湿度計を置いていますが、冬はかなり乾燥しやすく、加湿器を使用しないとすぐに30%を切ってしまいます。適切な湿度は40〜60%と言われているので、冬場は必ずと言って良いほど加湿器を使用した方が良いでしょう。
唾液分泌の促進
唾液腺マッサージを行うことで、唾液腺が刺激され、唾液の分泌が促進されます。
唾液腺は3つあるので、それぞれに対しマッサージを行うと良いでしょう。
耳下腺:耳の手前の頬部分を後ろから手前に向かって指で押します。
舌下腺:顎の下部分を指で押します。
顎下腺:顎の骨の内側部分を、骨に沿って5箇所ほど押します。
まとめ
以上のように、ドライマウスは様々な原因によって引き起こされます。
「もしかしてドライマウスかも?」と思う症状がある場合は、歯医者で相談をし、原因となっていることに対し適切な対策をすることが大切です。
また、すでにドライマウスになっている場合は、虫歯や歯周病などのお口のトラブルが起きやすい状態なので、歯医者で定期的なメンテナンスを受けましょう。
ドライマウスは、生活習慣が原因で起こることもあるので、高齢や病気の方だけでなく、若い健康な方も誰もが起こりうる病気です。
お口の乾燥が気になる場合は、生活習慣の見直しから始めてみましょう。